遺言の基本知識(4)

秘密証書遺言

 秘密証書遺言は必ずしも遺言者の自筆でなくてもよく、遺言内容も本人だけの秘密にすることが出来る遺言です。

 ただし、作成には公正証書遺言と同様に公証人と証人の関与と作成手数料が必要な上、遺言者が亡くなったときは、相続人などが家庭裁判所で「検認」の手続きを受けなければならないとされています。

 

 また公正証書と異なり公証人は内容にまでは関与しませんから、自筆証書遺言と同じように内容に不備があり無効となる危険性が高いというデメリットがあります。
 自筆証書遺言と公正証書遺言との中間的な方法ですが、現実にはあまり利用されていない方式です。

 

秘密証書遺言作成の手順

 遺言書の内容を書き(ここのみ第三者の代筆やワープロも可)、必ず遺言者本人が署名押印を行います

 

 次に、遺言者本人が遺言書を封筒に封入し、遺言書に押印したのと同じ印鑑で封印をします。

 

 遺言者が公証人1人と証人2人以上の前に封書を提出して自分の遺言書であることとを述べます。
 また第三者が作成した遺言書を書いた場合は、その筆者の氏名と住所も述べます。

 

 最後に、公証人が遺言者が述べた旨と日付を封書に記載し、遺言者および証人と共に署名押印します。

 

 秘密証書遺言は上記のような、手順で作成されます。

 内容を公証人は確認をしないため、裁判所の検認も必要な上に利用する際は手数料も必要など、自筆証書遺言と公正証書遺言双方のデメリットが重なる印象があります。
 このような事が、あまり利用されていない要因ではないかと思われます。

 

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遺言の方式の長所・短所のまとめ

ここでは、3つの遺言書の方式を表でまとめておきます。
自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言
作成方法 本人が遺言の全文と日付・氏名を書いて、押印する。

ワープロやビデオ・カセットテープは不可。

本人が口述し、公証人が筆記する。 本人が遺言書に署名捺印後、遺言書を封じ、遺言書に使用したものと同じ印で封印する。
作成場所 自由 原則、公証役場 自由
証人 不要 2人以上必要 2人以上必要
裁判所の検認 必要 不要 必要
メリット 証人の必要がない。

遺言を秘密にできる。

費用がかからない。

証拠能力が高い。

偽造の危険がない。

検認手続きが不要。

遺言の存在が明確。

遺言の内容は秘密。

偽造の危険がない。

デメリット 紛失、偽造の危険性がある。

方式不備による無効の可能性が生じる事がある。

検認手続きが必要。

作成手続が煩雑になりやすい。

遺言を秘密にできない。

費用がかかる。

証人2人以上の立会が必要になる。

作成手続が煩雑になりやすい。

費用がかかる。

検認手続きが必要。

 
 

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