遺言の基本知識(1)

遺言とは

 

 遺言者が、自分の死後の財産、身分(普通はほとんどの方は財産の事のみを書くようです)などを一定の方式に従って定める、最終的な意思のことです。

 遺言の特徴は『書いた本人が亡くなられた後に効果が発生する』ということです。「何を当たり前の事を」と思われるかもしれません。

 でもこの事は非常に重要な事です。

 

 その理由は・・・・
 遺言の効果が発生した後は、修正不可能
 だからです。

 

 例えばもし遺言書に記した内容にあいまいな内容や疑問点があればどうでしょうか?

 通常の契約であれば内容にそういった点があっても、本人に問い合わせる事で、内容の趣旨や意味を確認することが出来ます。
 しかしながら遺言では本人が亡くなっているわけですから、確認することは不可能です。

 遺族は故人の遺言書を書いた状況を考え、意味を推測するしかありません。
 もしその推測内容が故人の意思と違っていたとしたら・・・・・・

 遺族には確かめる手段がありません。

 

 このように遺言を書くことで逆にトラブルの元となる場合もあります。
 トラブルにならない遺言を書くにもやはりコツがあります。

 取り返しがつかないことになる前に、専門家に相談するなど慎重に遺言書を書きましょう。

 

▲このページの先頭へ

 

遺贈とは

 

 遺贈とは、遺言者が遺言でその財産を譲り渡すことをいいます。

 これは自分の財産であるから自由に処分(譲ったり、売ったり)しても良いということになっているからです。
 原則として遺言で指定することにより、生きている間と同じように自分の財産を死亡後にも自由に出来る訳です。

(ただし、自由といっても一定の制限があります。詳しくは遺留分の項目を参照してください。)

 

 つまり遺言により家族や親族以外の第三者に財産を譲ったり、財団などの法人に死後の財産を譲ることも可能なのです。

 

 では
 遺産はどのような人にも譲れる?
 のでしょうか。

 

 遺贈の相手方は相続人を含めて誰でも構いませんが、遺贈を受ける側に権利能力というものが必要とされています。

 簡単に言うと財産を扱える能力が必要だということです。
 ですから法律上「物」とされるペットは財産を扱える能力がないため、遺贈することは出来ません。

 では、どうしてもペットのために財産を残したい場合はどうしたら良いでしょう?

 例えば、「ペットの世話を行う」ということを条件にペットの世話をする人に財産を遺贈する負担付贈与などしてみるなどの工夫が必要となります。

 
 

▲このページの先頭へ

 

包括遺贈や特定遺贈とは

 

 遺贈には2種類の方法があります。

 まずは遺贈する財産を「財産の全部」や「財産の○○パーセント」、「財産の◇分の1」といったように、財産に対する割合を示して遺贈する方法です。

 これを「包括遺贈」と呼びます。

 2つ目は遺贈する財産を「○○の家と土地」や「◇◇の株を100株」といったように、特定の財産を示して遺贈する方法です。

 これを「特定遺贈」と呼びます。

 

 では
 包括遺贈と特定遺贈はどう使い分ける?
 と良いのでしょうか。

 

 包括遺贈と特定遺贈のどちらを選んだとしても、遺言としては有効です。

 

 ただし包括遺贈の場合には以下の特徴がありますので、包括遺贈を利用する場合は注意が必要です。

1.相続時に借金などの負の遺産(借金など)がある場合、原則として遺贈を受けたものにも負の遺産に対して責任を負います。(民法990条)

2.割合を示しているだけですから、相続発生後に必ず遺産分割協議を行う必要があります。

 

 つまり・・・

 包括遺贈は亡くなった時に存在する財産を割合で記載できるため、公平であるメリットはありますが、借金がある場合には財産を受贈できる共に借金を負担する必要がありますし、受贈する人同士が分割方法でトラブルになる危険性もあります。

 せっかく遺言を書く訳ですから、そのあたりも考慮してトラブルを未然に防ぐようにしましょう。

 

 特に相続人以外の人に遺贈を行う場合は、分割協議の際にトラブルに発展する可能性がありますので、特定遺贈の方が望ましいでしょう。

 
 

▲このページの先頭へ