相続人の調査(戸籍の収集)
法律的に相続人が誰であるかを確認することは重要な事ですし、実務的にも不動産の相続による名義変更を行う場合や、被相続人の銀行口座を相続するには相続人の調査が必要となります。
また、相続放棄や限定承認を行う場合や、遺言所の検認を行う場合にも戸籍の調査は必要不可欠です。
具体的には被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍(原戸籍)と、相続人の戸籍謄本等(場合によっては出生からのすべての戸籍)を収集します。
戸籍の請求は、本籍地のある市区町村役場に行います。(住所地ではありませんのでご注意ください)
また除籍簿(戸籍に入っていた者が死亡や結婚等でその戸籍から除かれ、全員が戸籍から抜けてしまった物)の場合は、その当時の本籍地の市区町村役場に行います。
請求には役場に足を運ぶ以外に郵送でも行うことができます。その場合には手数料は郵便局等で販売されている定額小為替を利用します。
被相続人の死亡時の戸籍から順番に戸籍をたどりながら、被相続人の出生からの除籍簿や改製原戸籍を集めていくことになります。
これらの書類を集めた上で相続関係図を作成します。
この作業は戸籍を普段見慣れていない方には、かなり面倒な作業となりますし、転籍等により5、6箇所の役所に請求を行う事もまれではありません。
さらに昨今の個人情報保護意識の高まりにより、戸籍の請求も戸籍記載者との続柄などを証明しなければならない事も多くなり、慣れていない方には非常にストレスが貯まる事もあるのが実情です。(窓口で親戚との続柄の証明をしてくださいと言われ、「自分はまちがいなく親戚で不正な事などない!!」と声を荒げている方を何度も目撃しています)
そのため相続手続きに予想より時間がかかる事が多いのも実情です。出来るだけ戸籍取得の期間は余裕を見て行ってください。
もし早急に相続手続きを行いたいなどの事情で、迅速に戸籍収集を行いたい場合は専門家に依頼することも検討してください。
遺産分割協議書
相続が発生した場合、遺産の分割は遺言があれば遺言により行われます。
しかしながら現実には、遺言書が残されていない場合が多いのも事実です。
遺言書が残されていない場合には法定相続分に従って相続を行うことになるのですが、遺産が預金などの簡単に分割できるものばかりなら問題はありません。
しかし不動産などは分割して相続ということは容易ではありません。(部屋ごとに分けて相続するというのは現実的ではないでしょう)
このような場合は相続人全員で話し合いをして不動産を1人の所有にして、他の遺産を他の相続人に分けるといった事が行われる場合が多いのも事実です。
このように相続が発生した場合に遺言がない時は、相続人全員の話し合いにより遺産の分割方法を決定します。(分割協議より遺産の○○を誰が相続するかを決めます。)
そして合意にいたった内容を書面にしたものが遺産分割協議書と呼ばれるものです。
必ずしも書面にしなくても良いのですが、後のトラブルになる場合もありますし、なにより遺産分割協議書は、相続手続きを行う際に必要となるケースが多くあります。
具体的には遺産の不動産の相続手続きや銀行預金の相続手続きにも必要となるケースが多いため、遺産分割の合意に至った場合は正式な遺産分割協議書を作成しておきましょう。
ただし遺産分割協議書は、相続手続きに使えるようなものにしておかないと、せっかく作った遺産分割協議書が無駄になったり無効になったりしますので、じっくり調べた上で注意して作成するようにしてください。
書類作成に不安な方は専門家へご相談される事をお勧めいたします。