会社法施行により有限会社は現在、設立が出来なくなっています。
では既存の有限会社はどうなるのでしょうか?
既存の有限会社は特例有限会社に移行され存続する事ができます。
また新たな手続はほんとんどの会社で不要です。
なお、この特例有限会社ですが、次のような特例は継続されます。
商号は「***有限会社」や「有限会社***」から変更ありません
取締役の任期は無期限です
決算の公告義務もありません
また、有限会社の定款は次の表のように自動的に読みかえられますので、定款の変更も現状の機関設計のままであれば不要となります。
以前の有限会社 | → | 特例有限会社 |
|
基本的 事項 |
定款 | → | 定款 |
社員 | → | 株主 | |
持分 | → | 株式 | |
出資1口 | → | 1株 | |
絶対的 記載事項 |
目的 | → | 目的 |
商号 | → | 商号 | |
資本の総数 | → | 資本金の額 | |
出資1口の金額 | → | 記載なし | |
各社員の出資の口数 | → | 株式の数 | |
社員の氏名・住所 | → | 株主の氏名・住所 | |
本店所在地 | → | 本店所在地 | |
別段の 定め |
出資口数に応じない 議決権行使を認める定め |
→ | 発行する株式の内容 (発行可能種類株式総数 及び発行する 各種類の株式の内容)発行済み株式総数、並びにその種類及び種類ごとの数 |
出資口数に応じない 配当を認める定め |
→ | ||
出資口数に応じない 分配を認める定め |
→ |
このように自動的に定款を読み替えられ、既存の有限会社は特例有限会社として存続する事ができます。 では、有限会社は何も手続が必要ないのでしょうか?
実はいくつかしなければならない事が規定されているんです。
有限会社がやらなければいけない事とは?
定款を変更する必要がある? | |
特例有限会社の定款はみなし規定により、自動的に読み替えられるのは前述のとおりです。
しかし、会社に備え付けられている定款は今までどおりで何も変更が加えられていません。 つまり、みなし規定に従った定めが定款に無い場合でも、結局その内容を変更した状態で定款を示す必要がある事になります。 結局、同じような手間が発生するわけですから、現実とは相違点がある定款を会社に備え付けておくよりは、株主総会の時期に定款に変更を加えておく方がよろしいのではないでしょうか? 出来るだけ次回に行われる定時株主総会に、定款変更の決議を行い定款変更をすることをお勧めします。 |
特殊なケースとして登記が必要な場合も? | |
もし有限会社の定款に次の記載がある場合は、2006年10月までに登記が必要とされています。 登記を怠った場合、100万円以下の過料に課せられる場合がありますので、必ず登記手続きを行いましょう。 議決権の数または議決権を行使する事ができる事項に関する別段の定めがある場合 利益の配当に関する別段の定めがある場合 残余財産の分配に関する別段の定めがある場合 |
会社法施行で確認会社設立はどうなる?手続きは?
会社法施行で最低資本金制度撤廃されて資本金の額に関係なく会社が設立される事になりましたが、実は平成15年2月から中小企業挑戦支援法という法律により、1円からでも会社が設立できる制度が導入されていました。
この制度を利用して作られた会社は『確認会社』と呼ばれています。(俗に言う『1円会社』の事です)
さてこの確認会社ですが、会社法施行に伴い手続が必要でしょうか?
答えから申し上げますと、必ず必要となります。
実は確認会社の定款には『資本金の額が確認株式会社なら1000万円以上、確認有限会社なら300万円以上に増資しなければ、設立の日から5年経過すると解散する』という文言が入れられています。
会社法施行で最低資本金制度が撤廃されても、この定款の文言は有効ですので会社設立後5年間そのままにしておくと、せっかく作った会社がなくなってしまいます。
必ずこの上記の規定を廃止する手続を行いましょう。